保定とは
保定とは矯正によって並んだ美しい歯並びを保つことです。
矯正治療はある意味、後戻りとの戦いでもあります。
若い頃に矯正して後戻りしてしまったという方にお話を聞くと大抵リテーナーをあまり使用できなかったとおっしゃる方が多いのが現状です。
諸星矯正歯科自由が丘では動的矯正治療(歯を動かす治療)終了後も必ず保定メンテナンスを受けていただくために2年間の保定管理費用を矯正治療の一環として治療費に含めております。
保定装置の必要性
矯正治療後も口の中に何か装置をつけないといけないとなると、がっかりされる方も多いと思います。
保定装置は主に取り外しができるものを使用し、矯正装置に比べたらはるかに装着の違和感や不便さが少ないものです。
また装着時間は経年的に短くなっていきますのでそこまで落ち込まず、保定も頑張りましょう。
歯並びが後戻りするメカニズム
矯正中は歯の根っこが骨の中を移動していくわけですが、骨が添加と吸収を繰り返し、リモデリングがおこなわれることで歯の移動が起こります。そして歯根膜は歯根膜繊維、コラーゲンの束のようなもので構成されていて歯周靭帯とも呼ばれています。
装置を外したらその歯の周囲の組織はそのまますぐに安定することはなく元に戻ろうとします。これがいわゆる後戻りです。歯の周りの骨や歯肉が安定するのに2年近くはかかります。
そこでキレイな状態を維持するための装置、保定装置が必要になってきます。また歯の周囲組織の働き以外にも、口元の筋肉や舌の習癖なども後戻りを引き起こす原因なので注意深く管理していく必要があります。
保定装置(リテーナー)の種類
矯正装置により保たれていた歯列は矯正装置除去後に、補助なしの状態になります。
それを放っておくと矯正前の状態に後戻りしまいます。
保定は保定装置(リテーナー)を正しく効果的に使用することが重要です。
諸星矯正歯科自由が丘では患者様のご希望や、症状に応じてリテーナーを選択し、正しく使用してもらえるよう努めています。
取り外しのできる保定装置
ラップアラウンドリテーナー/ベッグリテーナー 取り外し式
(Wrap Around Type Retainer/Begg Type Retainer)Removable
最も代表的なリテーナーです。
メリット
- 矯正治療後の歯の治療(詰め物、被せ物など)にも対応しやすい
- 素材が頑丈で調整が可能
- 上下の歯が直接接触するので咬み合わせがなじみやすい(セトリング効果が期待できる)
- 歯と歯の間のわずかなスペースを閉じるなどの調整ができる
デメリット
- 表側のワイヤー部分が装着時に外から見える
- プラスチック部分の厚みがあり発音しにくい
マウスピース型リテーナー(Clear Type, Invisible Type Retainer)取り外し式
顎関節症の症状がある方には顎関節の負担を和らげるスプリントとしての効果が期待できます。
メリット
- 即日作製することが可能
- 発音障害が少ない
- 透明なので目立ちにくい
デメリット
- 数ヶ月程度使用すると着色、劣化する可能性がある
- 透明なので紛失しやすい
- 材質上、強い力や高温(熱湯など)で変形する恐れがある
取り外しができない保定装置(固定式)
フィックスタイプ(Fixed Type)リテーナー
.0195ツイストワイヤーをレジン(樹脂)にて接着します。
最も後戻りしやすい下の前歯部分によく使用します。
歯列全体で見ると咬合力のかかる中心点であり、下の前歯は最も小さく細くて平べったい歯であるという形態特性上、歯並びのズレが起こりやすいです。
かつ加齢変化として歯列全体として歯が前倒しになり、咬み合わせが深くなるという現象が起こりやすいので、その影響で下の前歯は最も変化が起こりやすい部分であるため数十年単位で装着される方もいます。
長期装着される方は材質劣化を考慮して5年に1度程度、張り替えをお勧めします。このように長期で装着される方もいるので違和感は少ないと言えます。
ただしフロスが通せない(歯間ブラシを真っ直ぐ通すことは可能)、歯石がつきやすい、歯ブラシがしにくくなる、装置の接着が取れてしまう可能性があるという欠点があります。
しかし固定式なので使用時間の管理においては安心であることが最大のメリットです。
保定装置は患者さんの希望ももちろんお伺いしますが、基本的には昔の歯並びで戻りやすいところを効率的に維持できるよう設計します。
個々の歯列にあった保定装置が望ましいです。