今回は矯正専門のドクターの目指す正常咬合の条件の一つとして、The six keys to normal occlussion (理想的咬合のための6つの鍵)についてです。
普段よく見る一般的な矯正装置(ストレートワイヤーアプライアンス)を開発したDr.Andrewsは矯正治療の目的が正常咬合の獲得であるという仮説に基づき
理想的咬合のあり方から共通する6つの特徴を見出しました😉
- 第一の鍵
上下歯列弓間の関係:AngleⅠ級で上顎第一大臼歯遠心辺縁隆線(赤線)は下顎第二大臼歯近心辺縁隆線(青線)と咬合する。
- 第二の鍵
歯冠のアンギュレーション:適切な歯冠の近遠心的傾斜を示している。(歯の左右的な傾きのことです)
- 第三の鍵
歯冠のインクリネーション適切な歯冠の唇頬舌的傾斜を示している。(歯の前後的な傾きのことです)
- 第四の鍵
ローテーション。捻転がみられない。(歯のねじれがない)
- 第五の鍵
緊密な歯冠接触。隣接する歯冠の接触点は調和して接触している。
- 第六の鍵
スピー湾曲。スピー湾曲が平坦に近い(スピー湾曲とは奥歯から前歯のカーブのこと)
上記に述べたように基本的にはこの条件を満たす咬合をゴールに治療していきます。
もちろんThe six keys to normal occlussion の条件だけでなく他にも沢山評価して正常な咬合にしていきます。
そして機能面、下顎の運動、臼歯の早期接触など様々なことを関連づけ治療のゴールを決めなければなりません。
不正咬合は正常咬合から逸脱した程度によって判断されます。
正常咬合を保持するには以下のことが大切です😉
- 歯の大きさと形態の調和
顎骨の中に歯が埋まっています。顎が小さいのに歯が大きいとどうしても並びきらず、ガタガタした歯並びや前突傾向になる可能性があります。
- 歯の正常な咬頭嵌合と隣接面の接触関係
噛んだ時に1歯対2歯の関係が望ましいです。歯の形態はよく見ると山と谷のようになってます。山と山でぶつかって噛んでしまうと1点接触となり食べ物も細かくできず、歯への負担も大きくなります。
- 歯周組織の健康
保定についてのブログでも述べたとも思いますが、歯周病疾患があると歯を支える骨のレベルが低くなってしまいますので、歯がガタガタになってきます。
- 顎骨の正常な形態と発育
不正咬合には、歯の並びだけが原因のものと、顎骨からずれている骨格性不正咬合があります。骨格性不正咬合は場合によっては外科的手術をして正常咬合を得る方法がとられます。
- 顎関節の正常な形態と機能
顎関節が正常な位置に近いところで歯を並べていかないと、関節に負担がかかったり、歯の早期接触が起きたりすることがあります。
- 筋の正常な発育と機能
口腔内の歯は周りの筋肉によっても支えられています。常に口を開けていて筋肉が弛緩していると支えのバランスが悪くなり咬合も崩れてしまいます。
ではなぜ不正咬合は治療したほうがいいのか。
(以下に述べることは諸星矯正歯科での考えです。)
- 見た目の変化
笑った時の歯の並びが綺麗な方がいいと思う方も多いと思います。またそれと同時に歯の並びを変えることで軟組織の変化も得ることができます。前歯を下げることで口元が下がります。
- カリエスの予防
歯がガタガタだと歯ブラシだけでは歯と歯の間は磨けません。そこがカリエスになってしまったりする恐れがあります。もしも歯が綺麗に並んでいるとメインテナンスもしやすいです。
- 歯肉炎、歯周病の予防
カリエスと同様汚れが綺麗に取れてなかった場合、歯肉炎、歯周病に発展していきます。
- 歯肉退縮の予防
例えば1歯だけに集中して噛む力が加わってた場合、歯肉退縮します。
- 咬耗、摩耗の予防
歯が正しい位置で噛まれてない場合、歯が咬耗したり摩耗したりします。
- 消化不良の予防
口腔内も消化器官の一部ですので、食べ物を最初にいかに細かくできることでその後の消化に大きく影響してくると思います。最低20回噛むことがよく推奨されてます。正常咬合であれば噛む能力が増し歯と歯の接触面積は増え噛むことが楽になります。また効率良く食べ物を刻むことができます。
- 健康な歯を長くもたせる
何歳になっても歯が沢山残っているとメリットは大きいとおもいます。
正常咬合のイメージが少しでも湧いていただけると嬉しいです。またそれによって矯正に興味を持っていただけるとさらに嬉しいです。歯並びが気になった方はお気軽にいらしてください(^-^)✨